モンテッソーリ教育とは?内容や教具、おすすめ書籍・デメリットetc…を大特集

モンテッソーリ その1

近年、オルタナティブ教育のモンテッソーリ教育、シュタイナー教育、自由の森学園などが注目を集めています。この記事では、モンテッソーリ教育の全体像と日本でモンテッソーリ教育を取り入れる方法を解説しています。
目次から興味のある部分を読み進めていただければと思います。

目次

モンテッソーリ教育とは

Facebook創始者・マーク・ザッカーバーグや、天才棋士として名高い藤井聡太など、数多くの実力者が受けているモンテッソーリ教育。

モンテッソーリ教育は、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が創始した教育法です。

モンテッソーリ教育では「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」を前提としています。

歩くことを教えなくても、自然とハイハイから立ち上がって歩こうとし、身の回りの様々な出来事を吸収してゆく姿を見ていると、子どもに自らを育てる力が備わっていることを感じることができるでしょう。

元々子どもの内にある力を自由に発揮できる環境の中で、子どもは自らの意志で活動を繰り返しながら成長していくのです。

創始者マリア・モンテッソーリはどんな人

世界中で評価されているモンテッソーリ教育を創始したマリア・モンテッソーリは、一体どのような女性だったのでしょうか。

イタリア生まれのマリア・モンテッソーリ(1870年-1952年)は、ローマ大学で最初に医学博士になっています。大学卒業後は、障害児の治療教育に携わり大きな成果をあげていますが、その後、障害児に限らずすべての子どもの教育へと関わるようになりました。

そのきっかけとなったのが、ローマ不動産協会が1907年1月に貧困層向けのアパートに設けた保育施設『子どもの家』でした。マリアはこの施設の監督と指導を任せられていました。
※『子どもの家』とは、現在ではモンテッソーリ教育を実践する幼児教育施設を指します

この保育施設での実践から生まれたのが「モンテッソーリ教育法」です。

マリアはモンテッソーリ教育を広めるために、多くの著作を残し、教師の養成にも力を注ぎました。晩年には、平和と子どもの生命の尊重を訴える運動を展開し、ノーベル平和賞の候補にもあげられます。マリアは、ファシズムを逃れて移り住んだオランダで亡くなりました。墓碑には、「愛する全能の子らよ、人類と世界平和のために、私と力を合わせよう」というメッセージが記されています。

モンテッソーリ教育の思想、目的、内容

モンテッソーリ教育が、数多くの有能な人材を育てた理由は何だったのでしょう。
その思想や目的、内容を探ってみましょう。

モンテッソーリ教育の思想

モンテッソーリ教育は、子どもを観察することによって見出された事実に基づく科学的な教育法です。
その基本的な考え方は「子どもには生来、自立・発達していこうとする力(自己教育力)があり、
その力が発揮されるためには発達に見合った環境(人や物)」が必要である」
というものです。

大人がすべきことは、何かを直接子どもに教え込むことではなく、子どもの発達がどのような形ですすんでいくかを知り、子どもを観察し、環境を整えることです。

モンテッソーリ教育の目的

モンテッソーリ教育の目的は、
「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」
ことです。

その目的を達成するために、モンテッソーリは子どもを科学的に観察し、そこからえた事実に基づいて独特の体系を持つ教具を開発するなどして教育法を確立していきました。現代の大脳生理学、心理学、教育学などの面からも、その教育法の確かさは証明されています。

モンテッソーリ教育の内容

モンテッソーリ教育の内容に触れるには、まずはじめにモンテッソーリ教育で子どもの年齢と学ぶ時期について、どのように捉えているかを知る必要があります。

モンテッソーリ教育では、0歳から6歳までの「乳幼児期」を、0歳~3歳までの<前期>と、3歳~6歳までの<後期>に分けて考えています。

そしてそれぞれの発達段階にあらわれる「敏感期」を背景に教育環境が用意されています。
「敏感期」とは、自己教育力のあらわれといえます。
「敏感期」を具体的に説明しますと、幼児期において、ある特定の事柄に対して、強い感受性が表れる、ある特定の時期のことを指しています。特筆すべきことは、敏感期にある内は、その特定の事柄は簡単に吸収されますが、時期が過ぎると、その感受性は消えてしまうということです。

モンテッソーリ教育では3歳から6歳までを「意識の芽生え」の時期と呼んでいて、
この時期は子どもがそれまでに学んできたさまざまな事柄を、意識的に整理、秩序化していくとされています。

この時期に子どもの自己教育力を発揮させる環境として主に5つの教育分野があります。

3歳から6歳までの「意識の芽生え」の時期に子どもの自己教育力を発揮させる教育分野

1.日常生活

日常生活の練習とは子どもが家事や自分の身体をコントロールできるようになるための練習のことです。子どもは自分の身体を思う通りにコントロール出来るようになることで、自分のことは自分でするようになり、自信と自立心が育まれます。

子どもは大人の真似をし、体の動かし方を学ぶため、大人が使う道具を子どもが使いやすいようにサイズを調整した教具を用意をして環境を整えます。教具はサイズなどは調整しますが、コップはガラスでできていて実際に落としたら割れるといったように、実生活に近い状態にしています。

2.感覚

人は目で見たり、耳で聞くことで世界を感じ取り情報を集めます。視覚、聴覚などの感覚をとぎすませることで、正確に情報が収集できるようになり知性や情緒の発達を促すとされています。

モンテッソーリ教育の感覚教具には、色・大きさ・形などを視覚や触覚でわかるようなものがあり、そういった教具を使うことで子どもは自然と感覚器官を使った練習ができるようになっています。

感覚教育により、脳の前頭葉が活動して「ものを観察する能力」や「ものを考える方法」を身につけていきます。そしてそれは「言語・算数・文化教育」などの知的教育分野の基礎となります。

3.言語

モンテッソーリ教育では、絵本や絵カード、文字カードなどの「教具」を活用し、「話す」「読む」「書く」の作業を通して語彙を豊かにすることを目指します。子どもの発達や興味、関心と合わせてまずは語彙を豊かにすることからはじまり、最終的には文法を学んでいきます。

子どもが文字に興味を持つようになったら、パズルのように並び替えることで文章が作れる教具や文字練習帳といった教具を使って言語教育を進めていきます。

4.算数

モンテッソーリ教育の算数教育は、単に数を数えたり計算するだけではなく、数字を具体的に触れる形で覚えていくという特徴があります。

豊かな色や形状をしている算数教具を用いることで、子どもは触覚などの感覚も使いながら数を身につけていきます。算数教育にも段階があり、まずは具体的に数を理解し、最後は暗算という抽象的な段階に進むことで無理なく算数を学んでいくことができるとされています。

5.文化教育

モンテッソーリ教育の文化教育とは、具体的には、理科や社会に当たる内容で、歴史や地理地学、社会動植物といったものです。生命の神秘への興味や芸術に関する表現力など、さまざまなことを学んでいくことで子どもの興味を広げていくことを目的としています。

日本のモンテッソーリ教育の歴史や広がり

天才棋士として名高い藤井聡太が受けた教育として、日本においても、モンテッソーリ教育は注目を集めています。

日本では教育の自由化がなされていないため、基本的には義務教育がはじまる小学校までの幼児教育として行われることが多いです。1960年代にモンテッソーリ教育が日本に紹介されてから、教育プログラムを導入する幼稚園や子どもの家が設立されるようになりました。モンテッソーリ協会に認められている教育施設もありますが、従来の教育法と合わせてモンテッソーリ教育を活用する施設も多く誕生しています。

日本におけるモンテッソーリ教育実施園の数は正確には把握されておらず、移転や閉園等により情報が変わっている可能性もございますが、日本のモンテッソーリ教育実施園リストになります。ご参考になりましたら幸いです。

参考 モンテッソーリ教育実施園リスト 日本モンテッソーリ教育総合研究所HP 

幼稚園や保育園の他にも、モンテッソーリ教育を取り入れたサロンやオンラインの教室もあり、おうちモンテと称して、家庭でモンテッソーリ教育を取り入れる場合もあります。

モンテッソーリ教育を受けた子どもの共通点

集中力を持ち、自発的な子どもを育てると言われているモンテッソーリ教育。モンテッソーリ教育を受けた子どもたちの共通点はどのようなものなのでしょうか。

子どもそれぞれの発達段階や性格に合わせた教育を受けますので、1人1人伸びやかな個性を持ち合わせています。

決められたプログラムに取り組む受け身の学習ではなく、自分が興味関心を持ったことに取り組むことを重視しているため、主体性が育まれます。自分の意見を持ち、しっかりと主張できる子どもが多いようです。自分の意思を優先した主体的な学びを続けていくことで、積極性も身につきます。

子どものやりたい気持ちを重視するため、モンテッソーリ教育では「危ないからダメ」とやりたいことを止められることがありません。自分の意思を尊重してもらう経験を積み重ねることで「自分は大切にされている」「受け入れられている」と安心感や、自己肯定感が高まります。そして、色々なことに意欲的にチャレンジしていく心も育まれていきます。

モンテッソーリ教育では、子どもの自主性が重視されており、たとえうまくいかないことがあっても大人がすぐに助けたり、過度に手を貸すことはありません。自分のやりたいことに夢中になって取り組み、満足するまで没頭できるため、集中力が養われ、心が安定します。また、他の子どもと比較されたり、点数がつくことがないため伸び伸びと育つ子が多いようです。

クラス編成が縦割りなので、年齢を問わずにコミュニケーションがとれるようになり、思いやりの心が育まれます。下の子にやさしくしたり、上の子をお手本にしたり、お互いにゆずりあったりする経験が豊かになります。

さまざまなタイプの教具を使うため、手先が器用な子どもも多いでしょう。

モンテッソーリ教育を受けた著名人

・藤井聡太 四段(日本将棋連盟 棋士)
・ラリー・ページ(Google創業者)
・セルゲイ・ブリン(Google創業者)
・ジェフ・ベゾス(Amazon創業者)
・マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)
・ジミー・ウェールズ(Wikipedia創業者)
・P.F.ドラッカー(経営学者)
・バラク・オバマ(米国大統領)
・クリントン夫妻(元米国大統領と国務長官)
・ウィリアム王子とハリー王子(英国王室)
・アンネ・フランク(アンネの日記)
・ガルシア・マルケス(ノーベル文学賞作家)

モンテッソーリ教育をもっと知るための教具や書籍のご紹介

モンテッソーリ その8
レンタルのモンテッソーリ教具bibliotecaページのスクリーンショット

子どもたちの能力を伸ばし、自主性や集中力を引き出すためにモンテッソーリ教育ではオリジナルの”教具”と呼ばれるおもちゃを取り入れています。

教具には、子どもの自己教育力を促し、五感や知的好奇心を刺激できるものが使用されます。

子どもの自己教育力を発揮させる環境として、
1.日常生活、2.感覚、3.言語、4.算数、5.文化教育
という主に5つの教育分野がありますが、モンテッソーリ教育では、上記の分野と目的に合わせてさまざまな教具を使用します。

例えば日常生活の練習では「シール貼り」や「紐通し」、感覚教育では「円柱さし」や「積み木」、「味覚瓶」といった教具が用いられます。

モンテッソーリ教育で使用する教具は子供が興味を示し、思わず「やってみたい」と手に取りたくなるものであるよう工夫して作られています。色や形だけではなく、手触り、重さといった点でも子供が扱いやすいものになるよう考えられています。

また、皿などの器なら素材にプラスチックではなく陶器やガラスをあえて使用するなど、「本物」を用意することを重視しています。これは、よく似たコピー品を与えるのではなく、実際に落とすと割れてしまう、慎重に扱うなどの感覚を覚えさせるためです。

これらの点から、モンテッソーリ教育の教具は一般的な玩具と教育グッズの中間に位置するような存在だと言えます。

モンテッソーリ教育を知るための書籍

・モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す! (知的生きかた文庫 ふ 31-1)

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ライター

森永佳代と申します。
2018年秋、世田谷から藤野に引っ越しました。
夫と2020年生まれの息子、保護犬マカと約120歳の古民家を借りて暮らしています。

ちょうどこどもの教育について学び始めたところなのですが、直接関係者の方からお話をお伺いするのが何より一番面白くて身にはいってきますね。少しでもためになるような記事を作成すべく勉強中です。

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