神奈川県相模原市緑区にある藤野は、新宿から電車で約1時間。
東京から1番近い里山と呼ばれています。
藤野は芸術の町と呼ばれ、多くの芸術家がこの町へ移り住んでいます。
あらゆる分野で市民主導による、多種多様で自由なカルチャーが息づいている町。
年間を通じて、さまざまな興味深いイベントが開催されていますが、
こちらのページでは「藤野まるまるマルシェ」につきまして特集させていただきます。
藤野まるまるマルシェとは(概要)
「藤野まるまるマルシェ」は2023年は11月5日(日)に開催されました。
「藤野まるまるマルシェ」は年に1回、藤野のシュタイナー学園名倉校舎で行われる、ローカル&オーガニックに特化した地域のお祭りです。藤野とその周辺地区に住う有機農家やクラフト作家、アーティスト、飲食店が一同に集い、地域住民の他、
首都圏のオーガニックや田舎暮らしに関心のある多くの人が楽しむことができるマルシェです。
藤野にはこのようなマルシェがいくつかありますが、「藤野まるまるマルシェ」は芸術や自然体験を教育の一環として取り入れるシュタイナー学園の保護者の方たちが中心となって活動していることがひとつの特徴です。
藤野まるまるマルシェに行くには(アクセス)
藤野まるまるマルシェの会場は、こちらになります。
学校法人シュタイナー学園 初等部・中等部
〒252-0187 神奈川県相模原市緑区名倉2805-1
《電車でお越しの方》
最寄り駅はJR中央線 藤野駅。
※新宿駅からJR中央線で約70分
※横浜駅から約90分
※大月駅から約25分
藤野駅からは、無料シャトルバスの運行もありますので是非ご利用ください。
電車・徒歩:JR中央本線 藤野駅より約40分
《お車でお越しの方》
中央自動車道 相模湖 ICより15分
藤野小学校に駐車場のご用意がございます。
藤野駅と藤野小学校、まるまるマルシェ会場を巡るシャトルバスをご利用ください。
駐車場は台数が限られているため満車の可能性もございます。
ご心配な場合は公共機関のご利用がおすすめです。
藤野小学校 アクセス
神奈川県相模原市緑区日連549
※藤野駅[出口]徒歩11分
藤野まるまるマルシェ2023の出展内容
まるまるマルシェの特徴のひとつが、毎年美しいデザインで思わず魅せられてしまうパンフレット。こちらはイラストレーターの内田松里さんがデザインされています。藤野の風景が美しい夕焼けで彩られて、思わずいつまでも見ていたくなってしまいますね。
会場に2つ用意されたステージでは、さまざまなライブが。出店もFOODから雑貨、体験ブースから子どもたちの遊び場まであり、大人もこどもも楽しめる会場になっています。
藤野まるまるマルシェ2023写真レポート
まるまるマルシェの総合空間演出をプロデュース・丹羽蓮一郎さんインタビュー
2023年度「藤野まるまるマルシェ」では、はじめての試みとしてクラウドファンディングが行われ、見事に目標金額110%達成。
CAMPFIRE 藤野まるまるマルシェ クラウドファンディングページ
イベントの空間演出とクラウドファンディングの発起人をされたシュタイナー学園卒業生の丹羽蓮一郎さんにお話をお伺いさせていただきました。
丹羽 蓮一郎さんプロフィール
シュタイナー学園高等部卒業後、武蔵野美術大学造形構想学部映像学科在籍中。地域貢献と伝統文化の発信を目的とした空間演出や映像制作の分野で活動中。高校1年次に学生団体「メディア情報デザイン研究部」を設立し、高校3年次には「FUJINO SUMMER FESTIVAL 2022」を主催。翌年の「FUJINO SUMMER FESTIVAL 2023」では、会場の総合空間演出をプロデュース。2023年度「藤野まるまるマルシェ」のクラウドファンディングプロジェクトを起案し目標金額110%達成。
Instagram:https://www.instagram.com/ren1111111111111111111111111ro/
Facebook:https://www.facebook.com/RencihiroNiwa/
X:https://twitter.com/renichironiwa
note:https://note.com/shiny_gerbil745
本日はお時間をつくってくださりありがとうございます。
丹羽さんは、本年度のまるまるマルシェのクラウドファンディングに
挑戦され、見事に110%ご達成されたのですよね。
本当におめでとうございます。
ありがとうございます。
はじめての挑戦でしたが、地域の方にも支えられて
達成することができました。
※森永注
丹羽さんのnote「クラファン110%達成の裏側」に
クラウドファンディングについて詳細を語ってくださっています。
丹羽さんはシュタイナー学園をご卒業されていますが、
在学時からまるまるマルシェには参加されていたのですか?
高等部になってくるとなかなか忙しくて
実はまるまるマルシェにお客さんとして参加したこと自体は
数えるくらいしかないんですよね。
なので本格的に関わったのは、今回のまるまるマルシェからかもしれません。
元々藤野にお住まいだったのでしょうか?
いえ、東京でみねまち幼稚園というシュタイナー教育の幼稚園に通っていたのですが、シュタイナー学園への入学を考えて、年長のときに藤野に引っ越してきたんです。
学園に入る前は1年間はのびるっこ保育園にお世話になりました。
うちの息子もいまのびるっこにお世話になっています。
シュタイナー教育を行うみねまちから、のびるっ子に転園されて、どのような印象でした??
驚き、衝撃でしたね。
みねまちはシュタイナー的な空間の中で
毎日何をしても褒められて、歌を歌ったり
ファンタジーのような世界を生きてきたのですが、
のびるっこでは冬も裸足、半袖に半ズボンと決められていて、
上着を着ていたら怒られたり。(笑)
当時はのびるっこからシュタイナー学園に進学する子どもはほとんどいなくて、のびるっこには公立の小学校に進むちょっとやんちゃな子どもも通っていたりでギャップがありましたね~。
たしかに…。のびるっこは野生児たくさんですからね。
シュタイナー学園に入学されたときは、ほとんど知っている子がいないような状況だったのですか?
そうですね、はじめましての子がほとんどでしたけど、
八王子や藤野の子ども園チトなど、みんな色々なところから入学してきていて、まだ1年生なのでなじむのもすぐでした。
シュタイナー学園に通っている方のお話をお伺いすると、
8年間同じクラスで過ごして、家族のような関係性が育つと話してくださいますね。
そうですね、家族のような関係性もその通りですけど、
個人的には「本当に好きなことが見つかる」というのがシュタイナー学園の特徴だと感じています。
一方的な教育ではなくて、子ども達の自発的な気持ちを尊重し、
自由にやりたいことをやらせてくれる。
とくに高等部からが演劇や卒業プロジェクトがあり、大切な時期だったなと。自分の興味がある分野について1年間かけてプロジェクトの準備に取り組むんです。
丹羽さんは卒業プロジェクトでは何に取り組まれたのですか?
僕は「空間デザインの可能性」をテーマに掲げまして、
1年半にわたって、空間演出によって人や社会にどう影響があるかを研究しました。
今年や去年の「FUJINO SUMMER FESTIVAL」(シュタイナー学園高等部校庭で開催された地域イベント)の主催であったり、行政と連携して公共の場の空間づくりに取り組み、どういうデザインが空間にとってよいもので、何が大切なのか、シュタイナー建築も取り入れながら発表しました。
シュタイナー学園の学びの中で、ご自身の好きなものを見つけられて
卒業プロジェクトへとつながっていったのですね。
授業を通じてももちろんですが、僕の場合幼稚園の頃から
秘密基地をつくることが好きだったり、空間や場づくりに興味があったんです。
とはいっても、僕のように好きなことが見つかる人もいるし、見つからない人もいます。大学にいってからみつける人もいますしね。
ほぼ毎年実習があって、
職業体験や、米作り、家づくり、星見プロジェクト、パラグライダー体験など、沢山の体験を重ねていきます。
自分で体験してみて「これいいな」と好きなことを見つける人も多いですね。
好きなことが見つかる人や見つからない人の割合って、どのような印象なのでしょうか?
うーん、好きなことが見つからないという人は、厳密にいうといないかもしれません。
1年間もがきつづけながらも、卒業プロジェクトにとりあげる
自分の興味関心があるテーマを見つけていきます。
年に1人や2人は卒業プロジェクトのテーマを変えて
別のテーマに取り組む人もいるのですが、テーマが見つからない人はいないんですよね。
たとえテーマを変えたとしても、体験を通じて
自分は違うことに興味関心があるということを発見できたわけで
そのことにも意味があると思います。
丹羽さんは好きなことを見つけられてそれが進路や
今回のまるまるマルシェの空間演出へとつながっていかれたのですね。
さきほどまるまるマルシェには今まで数回足を運ばれたとのことですが、
それはいつ頃で、どのような印象でしたか?
小中学生のころですね。
いつも自分が通っているシュタイナー学園の名倉校舎が
1日だけこんなにお祭りさわぎになって、なんだかすごいなという印象が残っています。
それと同時に、もうちょっとこの空間が華やかだったら
もっと楽しいなとも。
今回丹羽さんがまるまるマルシェの空間をデザインされるうえで
意識されていた事はどんなことなのでしょうか?
空間づくりにおいては、デジタルなものや「FUJINO SUMMER FESTIVAL」(シュタイナー学園高等部校庭で開催された地域イベント)の経験があり、主に夜のイベントだったので、光やライトをつかって演出をしてきました。
今回ははじめての昼のイベントだったので難しさがあったのですが、
コロナで一度は中止になりオンラインになった
まるまるマルシェがもう一度戻ってきた、ということをテーマとして創り上げてゆきました。
クラファンを通じ、もう一度藤野の人が地域や自分たちのことを考える空間を空間デザインで支えたい。あたたかい空間を創り上げたいという思いが中心になりました。
色調もあたたかみを感じさせる、
緑や黄緑、オレンジや黄色に自然の色味を足したものをベースとしています。
※森永注
丹羽さんのnote「「藤野まるまるマルシェ」🍊のこだわり空間演出」に
クラウドファンディングについて詳細を語ってくださっています。
こちらの記事のトップ画像にも使わせていただいている、
内田松里さんのパンフレットのような色彩ですね。
出来上がった空間をみて、どのようにお感じになられましたか?
ここまでできたという思いと、もう少しやりたかったなという思い、どちらもですね。
スケッチブックにデザイン案を沢山書いたのですが、
耐久性や安全面で実現が難しかったものもあり、
頭の中でのイメージと実際はどうしても違ってきます。これは永遠の課題かもしれません。
現場で設計図を見直したり、ギリギリまでの作業となりましたが、
今までのまるまるマルシェの会場は、ガーランドくらいの飾りつけくらいだったので、本年度は竹のモニュメントやちょうちんなどの飾りつけのデザインをしてみました。
まるまるマルシェの空間デザインにおいて、一番心がけたことはなんですか?
今回一番心がけたのは「消耗品にならないように」ということなんです。
クラファンを通じて一部資金に充てさせていただきましたが、
今年のマルシェのためだけに買う、というのでは継続も何もないので、
なるべく物持ちがよく、特殊な技術の必要なしにみんなでやっていける、
ということを大切に空間デザインをしています。
たとえば布で手作りではなく、あえて耐久性の高いものを購入するようにしたり、3、5、10年と続けて使っていけるようなものを。
先日シュタイナー学園の見学に行かせていただいたのですが、
学年が上がるにつれて、世界が抱えている環境問題などにも目をむけて
実際に行動をおこされていて、とても意識が高いですよね。
空間のデザインにおいても、持続性を意識する、ということも
シュタイナー学園で学ばれてきたからこそかもしれないと感じました。
世の中のアーティストの方の中には
依頼されて、自分が担当する年のイベントに特化したデザインされる方も多いのですが、今回のイベントでは、地域で一体となって作り上げて行くイベントなので、
大きいモニュメントを作ったり、壊れやすいものをデザインに用いたりなど、長くは使えないものを作るのは違うな、と。
第一弾のご支援を来年の予算にむけて空間演出にしたり、
持続可能な運営体制へと変わる、まるまるマルシェのターニングポイントにしたいと考えています。
沢山の方が足を運ばれる、
まるまるマルシェというイベントを運営していく上での大変さは
どのようなところでお感じになりますか?
藤野まるまるマルシェの代表 有田さんに空間演出をやってみないか
お誘いをいただいたのが去年だったのですが、受験真っ最中だったため
一度辞退させていただいているんです。
その後「FUJINO SUMMER FESTIVAL」(シュタイナー学園高等部校庭で開催された地域イベント)の空間デザインを担当し、それを見た有田さんから再度まるまるマルシェの空間デザインのお話をいただきました。
空間デザインをするには、
まるまるマルシェというイベントの実態を知らなければ
と有田さんにお話しを聞かせていただいたのですが、コロナを区切りとして、イベントの運営自体がなかなか厳しい状況にありました。
バスの送迎や駐車場の案内など、全部ボランティアの善意によって成り立っていて、忙しい保護者の方が、イベント出演者の交渉や、
イベントの進行管理などすべてを取り仕切るには、規模が大きすぎて、
このままだとあと数年も続かないような状況だったのです。
継続が困難な一番の原因は資金にあると感じ、
今回クラファンに踏み切ることとしました。
7月から9月末にかけてクラファンに取り組み、あとの半月をかけて空間演出を設計しました。
自分が育ってきた藤野の地域のイベントとして
空間演出だけではなくディレクションやプロデュースから取り組ませていただく貴重な経験となりました。
そのような経緯があったのですね。
限られた時間の中でこのような大きなイベント空間を創り上げられていて、その思いもお伺いさせていただくとなんだか心動かされるものがあります。
まるまるマルシェの素晴らしいところは
丹羽さんはどのような点だとお感じになりますか?
まるまるマルシェは、
今まで様々なイベントに参加してきた中で、ダントツでコミュニティがあたたかいですね。
みんながみんな知り合いじゃないと思うのですが、
それでも全体が家族のようなつながりを感じます。
イベントの主催者、出店者が同じ立場にいて仲の良い家族のような。
この先もイベントをやっていく中で、ここは大切にしていきたいです。
そのような関係性は、シュタイナーの掲げる共同体の思想も関係しているのかもしれませんね。
そうですね。まるまるマルシェはシュタイナー学園の校舎で行われていますし、シュタイナー保護者の方も多く関わってくださっています。
それでも全員が関係者なわけではなく、藤野の地域の方も多く参加されているので、コミュニティの境界線を越えて、藤野のおまつりとしての一体感を感じられるのではないでしょうか。
「この人がいないと成り立たない」は持続可能とはいえないですよね。
みんなで創り上げていく、という形でこれからも
藤野まるまるマルシェが続いていって欲しいと思います。
代表の有田さんもこれからシュタイナーの卒業生もこれからもっと多く関わっていけたら面白いと仰っていました。
丹羽さんはシュタイナー学園を卒業されていますが、シュタイナー教育についてどのようにお感じになられていますか?
シュタイナー教育は、個人的にはまさに今必要な教育だと感じていますね。
中学の頃、受験用の塾に通ってはじめて、他校の生徒とちゃんとコミュニケーションを取るようになったのですが、勉強楽しくないなー、とかいいながら無理やり受験勉強をさせられていて。
受験するにしても、ネームバリューで志望校を選ぶ。
有名大学だったら、どこの学部でもいいやというような選び方をする人も多くてそれってちょっともったいないなと思います。
自分が本当に学びたいものではなく、なんとなく有名だからで大学や学部を選んでしまうと、その先も何となく就職して、何となく日々を生きてという風に繋がっていってしまうように思います。
本当に好きなことを見つけてその道に進むことができるって
とっても大切で幸せなことですね。
今日は大変貴重なお話をお伺いさせていただき
ありがとうございました。
藤野まるまるマルシェ公式リンク集
主催 シュタイナー学園公式サイト | https://www.steiner.ed.jp/ |
藤野まるまるマルシェ公式サイト | https://fujino-marche.com/ |
藤野まるまるマルシェ公式Instagram | https://www.instagram.com/marumarufujino/ |
藤野まるまるマルシェ2023 公式タブロイド | downlord |
藤野まるまるマルシェ クラウドファンディング | https://camp-fire.jp/projects/view/690858 |
過去の藤野まるまるマルシェ公式サイト | https://fujinomarumarumarche.localinfo.jp/ |
おわりに
ふだんは学園関係者以外は入ることのできないシュタイナー学園。藤野まるまるマルシェは、実際に学園の様子を知ることができる貴重な機会です。学園関係者の方も多く出店されていますので、実際にどんな方たちが関わっているのか雰囲気を感じて色々とお話ができますので、シュタイナー教育にご興味がある方にはとってもオススメ。マルシェを楽しみながら、秋の藤野の美しい山々を御覧に遊びにいらしてくださいね。
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